高校のど自慢大会
こんなことがあった。
高校三年の時のことだから
もう30年ほど前のたった5分間の出来事。
確か生徒会主催のイベントで
学級対抗のど自慢大会というのがあった。
観客は在校生だけだったと思うので確か文化祭とかではなかった。
体育館の舞台で在校生五百人程を前に
学級の代表者が順番に歌を歌うという
しょぼい企画であった。しかも伴奏なし。
僕はビートルズの「oh! darin」をひとり歌った。
レコード「アビーロード」は繰り返し聴いていたし、
かなり練習もした。
歌っている本人には頭の中で感動的な伴奏が鳴っている。
が、しかし…
おう!だーりん!ふぇんゆうぎーみ!!
『英語かよ!』
と野次が飛んで、笑いが起きた。
『わけわかんねえ!!』
頭の中の伴奏が鳴っている間の静寂 歌 静寂
『まだ終わんないのかよ!』
かなりの間の後、突然歌う僕は笑われ続け、野次られ続ける。
『まだ歌うんかよ!』
爆笑。おお受け。
英語の歌声と野次と笑いが代わる代わる響く体育館。
歌い終わり、頭を下げるまで、5分程の出来事だった。
僕の次は男女のペアがデュエットで有名な演歌を歌った。
野次は飛ばず、大きな拍手と歓声があった。
この体験。
僕はこの後、大学の演劇部に入り舞台にまた上がる。
そして、僕をして佐賀から上京させたエネルギー。
今も尚、僕をして役者をやめさせないエネルギー。
自分は舞台の上の人間であり
客席側に座って笑ったり野次を飛ばしたりはしないのだという決意。
思春期の自意識過剰の僕のその時の必死の決意。
その怨念のようなエネルギー。
でも、もう三十年も経ったんだ…
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